葬儀というとほとんどの方はお通夜と告別式を思い浮かべると思いますが、喪主やご遺族にとってはそれだけが葬儀ではありません。葬儀の準備から式後の火葬、遺骨埋葬、法要、手続き関連、遺品整理など、大切な方が亡くなったその瞬間から、葬儀後の事も含めた諸々がご遺族にとっての葬儀となります。実際には葬儀社の担当者がサポートしますが、事前に葬儀の流れを知っておくことで、不安を取り除き、スムーズに葬儀を進められることでしょう。
ここでは、お亡くなりから納棺までの一般的な流れをご紹介します。
1.危篤になったら
医師から危篤の診断を受けたら、近親者など合わせたい人に至急連絡を取ります。緊急を要するため、早朝や深夜にかかわらず電話で連絡します。
2. ご逝去
現代では多くの場合病院のベッドの上で死を迎えます。医師よりご臨終が告げられたら「末期の水」(「死に水」ともいう)で最期を看取る一人ひとりが逝く人をお送りします。
3.葬儀社へ連絡
葬儀社に連絡を取り、ご逝去場所、病院など亡くなった場所を伝えます。この時、医師に「死亡診断書」を書いてもらいます。
4.死化粧(湯灌・清拭・身繕い)
エンゼルケアとも呼ばれる、ご遺体の湯灌、身繕い、死化粧を行います。本来は葬儀社や納棺師の手を借りて遺族が行うものですが、病院で亡くなられた場合は、看護師などが死後措置の一環として行います。ただし、死化粧はしない病院もあり、その場合は、葬儀社に依頼するか遺族が行います。病院での死後措置は保険適用外となり、実費10,000~50,000円程かかります。また、「エンバーミング」と呼ばれる遺体衛生保存処置を施す方法もあります。
■湯灌・清掃
納棺前に亡くなった方をお風呂に入れる儀礼を湯灌(ゆかん)といいます。遺体を清潔にし、身を清め、来世への旅立ちをさせる意味があります。病院で亡くなった場合には、看護師が医療行為としての死後措置と併せて、ご遺体全身をアルコールまたは湯で丁寧に拭いていきます。これを清拭(せいしき)と言い、最近では本来の湯灌の替わりに施されます。
■身繕い
ご遺体の着替えのこと。本来は旅立ちのための死装束に着替えますが、故人が好きだった着物や服を用意してもよいでしょう。
■死化粧
ご遺体にメイキャップを施していきます。髪を整え、髭や産毛を剃り、表情に闘病のやつれがあれば含み綿などを施し、生前の姿に近づけます。故人が女性の場合は薄化粧し、唇に紅をさします。
5.お迎え・安置
法律によりご逝去後、24時間は火葬することができないため、病院からご遺体を搬送して安置します。自宅、もしくは葬儀社の安置専用施設に搬送します。
ご自宅などに着いたご遺体は、北枕や西枕など宗派の作法に従い部屋に安置します。敷布は新品または洗濯した白色のものを使い、敷布団にご遺体を安置します。掛布や枕も同様に白色のものを用います。掛布や枕は、葬儀社で用意する場合もあります。
6.葬儀の打合せ・段取り
喪主など役割を決め、葬儀社担当者と近親者とで葬儀の打ち合わせをします。この時、葬儀社の担当者に「死亡診断書」を渡し、「死亡届」「火葬許可証」などの手続き代行を依頼します。
また、職場や学校など関係者への連絡、喪服の準備、供花・供物の手配などを行います。
7.納棺
納棺の際、故人の愛用品など、一緒に棺に入れたいものがあれば準備しておきます。ただし、燃えにくいものや、金属類やプラスチックなどは入れられません。
菩提寺などのご僧侶が到着したら、ひとまずお茶などを出し挨拶を済ませ、ご遺体の前に案内し、「枕経(まくらぎょう)」を読経していただきます。「枕経」は、納棺の前に死者の枕元でする仏式葬儀の作法で、ご遺族もご遺体の前に控え、一緒にお弔いします。
枕経の後、ご僧侶立ち会いのもと、近親者でご遺体を棺に納めます。このとき、故人の愛用品なども一緒に納めます。
斎場等で通夜・告別式を行う場合、納棺された遺体を遺体搬送車(寝台車)にのせ、自宅から斎場へ向かいます。この時、ご近所の方のお見送りがあれば、出発前に喪主が故人に代わり、お別れのご挨拶と生前のお付き合いへの謝辞を述べます。